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請負では、基本的には評価されるのは成果物であり、不法行為などがない限り途中のプロセスは問われない。
そして、契約した納期と予算は守らなければならないという特質がある。
とくに日本ぶっつけ本番でつくる。
だから、建築は昔から、請負と警では、納期を守るということが最重要視される。
建設業は請負の代名調といわれ、辞書で「請負業」を調べれば、建設業者のことを指すというように書かれている。
その他、コンピュータソフトの開発、芸術作品、テレビ番組の制作なども請負で契約されるが、共通点は、受注してからつくることと大量生産をしないこと、すなわち、受注一品生産であるところにある。
請負では、プロジェクトの大小や難易度は仕事が発生するまでわからないし、自らが計画的に仕事をつくりだすことができないというリスクが存在するため、工場や機械などの生産資源、会社の従業員といった固定費の発生を抑え、なるべく身軽な経営を行おうとするベクトルが働く。
したがって、請負では、プロジェクト単位で人やモノが集められ、プロジェクトが終了すると解散というのが一般である。
人や機械などの生産資源は、その都度下請から調達する。
とくに建設業は、年度末に完成させたいなどという発注側の事情などにより、仕事量の季節変動が大きく、なおさらその要求は強い。
下請というシステム建築現場には、「施工・○○建設」というような看板が掲げられているのが普通である。
しかし、その会社の社員が施工しているわけではない。
最大手のゼネコンはー万人もの職員を抱えるが、そのなかに現場で実際に施工する技能者は一人もいないは、元請の請負業者と施工に関する請負契約を結ぶ。
設計とは委託契約となる。
設計と施工は別の役割で、建築主の立場に立って、工事が設計図書のとおりに実施されているかどうかを建築士が確認することを工事監理という。
元請の請負者の役割は、下請の管理、下請会社問の調整、コスト、安全など工事全体の進行を管映することである。
これを施工管理という。
読み方は同じ「かんり」であるが、設計者と請負者では当てる字も役割も異なる。
大手といわれるゼネコンはどこも同じである。
いわゆる地能者が雇われている場合もある。
ただし、それは職長などの基幹要員が主で、すべての技能者が対象ではない。
したがって、実際に施工するのは必然的に下請ということになる。
建設業では、ゼネコンに対してサプコンと呼ばれることもある専門工事業がその役割を担っている。
ゼネコンとサブコンの契約も請負である。
サブコンには、技能者が雇用されているが、人の雇用には健康保険や年金の事業主負担など経費の負担が重くなるため、最低限の人員のみを雇用しておき、残りの多くは下請に出すのが一般である。
孫請も同様に下請を使い、ひ孫請も…ということが繰り返されて、何段階にも重層化した下請構造が形成される。
そして、最末端部は、日雇いや出稼ぎの労働者ということになる。
これは建設産業の悪しき特質である。
請負リスクの担保と日本的生産システムを考える請負というリスクに加え、下請に施工を任せ、品質も時間も下請の技能者の能力に依存するのであるから、下請の選定には大きなリスクがともなう。
だから、元請の建設会社には、専属あるいは定常的に使用することを約束した下請が存在する。
このような、元請が信頼関係を認定した下請を「名義人」などと呼ぶ。
製造業でいう「系列」に近いものであるが、取引するのが商品ではなく、人あるいはその能力というところが大きく異なる。
名義人とは、元来、下請の経営者を指し、特定元請の部分工程分担者としての特権を与えられた存在であった。
最繁期に必要な人員を常時抱えていたのでは経営が成り立たないので、名義人も配下に「協力会」をもつ。
そのなかでも、専属度の高い組織を班、組などと呼び、その長は世話役などと呼ばれる。
名義人の責務は、施工の規模、難易度、地域などにより班や組を選別し、現場に送り込むことである。
名義人と班や組は、通常、請負契約の関係にあるから、下請が決まれば、同時に孫請も決まる。
どんな場合でも孫請まで存在すると述べたのは、こうした仕組みがあるからである。
個々の現場を統括するゼネコンの所長は、名義人の配下にある特定の班や組と専属的関係を構築することがある。
技能・技術のレベルがわかっていれば、より確実に受注・現場・一品生産を担う上でのリスクを回避できるからである。
また、施工の方法は、設計や構造から一義的に決まるものではなく、所長の好みや癖があるため、気心の知れた班や組を登用すれば効率がよく、習熟効果により生産性の向上も期待できるというメリットがある。
しかし、バブル崩壊以降、とくに今世紀に入ってからは状況が変化した。
バブル期の半額、場合によっては3分の1という発注単価のなかで、そのシステムが成立しづらくなったからである。
発注者などの監視が強まり、不合理、場合によっては不正な行為とみなされるようになったからだとも考えられる。
馴れ合いやもたれ合いで、現代では、専門工事業自体を指し、元請の「協力会」に属することコストが高止まりするのはゆゆしきことである。
しかし、安ければ安いほどいいという考えは、これまで述べてきた建設業の特質を考慮すれば必ずしも当てはまるものではない。
インターネットを使った入札でサブコンを選定するような例も多くなったが、その一方で、業界で「尻割り」と呼ぶ、工事を途中で投げ出して逃げてしまう事例が増えていると聞く。
最悪なのは、「丸投げ」と呼ばれる、請負った会社が何もせずに経費だけを抜いて下請に請負わせるものであ応。
丸投げは、昔から存在するものであるが、極端に低い価格の場合や、政治的な背景があるときに多いとされる。
昨今では、経費を要する技能者の雇用を一切せずに、携帯電話一本で活動し、丸投げ前提の低価格で仕事を請負う輩も増えているという。
元請と下請が、いい意味でチームを組む日本的なシステムは、海外からの評価も高い。
改善すべき点もあろうが、何でもかんでもインターネット時代の合理性を追求すればいいというものではない。
地方で成功したゼネコンが東京に進出しても、最初からいい仕事ができるとは限らないのは、信頼をおけるサプコンを見つけるのが難しいからである。
設計のプロセスと仕組み次に、建築における設計の仕組みを概説しておくことにしよう。
建築の設計というと、建築家Aの作品とか、B設計事務所の設計というようないわれ方をするが、実際、そうした人や組織がひとつの建物すべてを設計することは少ない。
図2は設計の基本的なプロセスを示したものであるが、建築家や設計事務所が担当するのは、基本設計と実施設計のなかの意匠設計の部分である。
構造や図面に加え、柱の断面の一覧や仕上げに関するリスト、その他図面では表せない工事方法について指示する仕様書などを総合して「設計図書」と呼ぶ。
実施設計段階では、さまざまな専門家が設計に関わることになる。
設備は、別の専門知識とより詳細な情報を必要とするので、大手の設計事務所や大手ゼネコンが設計を行う場合を除いては、外注とするのが一般である。
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